阿寺山地 前山(1814.5m)、唐塩山(1610m) 2011年11月12日

所要時間 6:36 二ノ谷登山口−−7:14 避難小屋−−7:33 夫婦滝−−7:53 孫滝−−8:43 三ノ谷登山道合流−−9:06 第一高原−−9:28 前山 10:07−−10:32 一ノ谷ノ頭−−11:05 唐塩山 11:48−−12:58 前山 13:43−−14:11 第一高原−−16:02 二ノ谷登山口

概要
 小秀山登山道から往復。知らなかったのだが前山北方の1910m峰から前山、唐塩山、木曾越峠へと刈り払いされた登山道が開かれていたため、籔漕ぎの予定が楽々だった

 阿寺山地の最高峰は小秀山であるが2番目の高さの山はどこだろうか? それは井出ノ小路山(1840m)であり、ここは雪の降る寒い日に笹籔を漕いで登ったのであった。では三番目に高い山はどこか? 最初は既登山の奥三界岳(1810.5m)かと思ったが、地形図をよく見ると小秀山近くの前山(1814.5m)であった。地形図では破線は無いが小秀山登山道途中にある1910mから程近いため、激笹藪が予想されるがどうにか往復可能と見た。ただし、濡れた状態は勘弁してもらいたいところだ。

乙女渓谷キャンプ場入口 キャンプ場入口右側の有料駐車場(冬季は無料)

 阿寺山地の岐阜側は遠い。伊那ICで降りて権兵衛トンネルを抜けて木曾へ。国道19号線を延々と南下、旧坂下町で西にずれて北上開始。国道256号線→257号線と進み、舞台峠手前で乙女渓谷の案内に従って右折、あとは案内に従って進んでいき谷筋へ。やがて駐車スペースと建物が登場し、そこが乙女渓谷キャンプ場で小秀山登山口だった。本日はここで仮眠。夜中にもう1台車がやってきただけだった。

小秀山二の谷登山口 地震計
二の谷を渡る最初の橋 沢の左岸を緩やかに登る

 翌朝、朝飯を食っていると数台の車が到着。当然ながら小秀山が目的だろう。まさか前山に行く人はいないだろう。こちらも出発準備を整えて歩きだす。小秀山の登山道は二の谷沿いと三の谷沿いの2本があるが、距離を考えれば二の谷がずっと近いので迷うことなくそちらに入る。右手のキャンプ場入口がその登山道入口で、そこには駐車場は有料(\500)との張り紙。夜中にやってきたので気付かなかった。まあ、このくらいの御値段ならいいか。まだ無人で帰りにキャンプ場受付で支払うようにとの案内も書かれていた。

ここから一連の桟橋群が始まる やたらと立派な桟橋だが濡れるとめちゃ滑り易い

 さすが整備された登山道が続き、二の沢沿いにかかると桟橋の連続であった。これはえらく整備されているが、昨夜の雨で桟橋の床が濡れて氷の上のようにツルツルだ。下段のようなステップが水平な個所はいいが、傾斜のある坂は全く登れない。しかし、設置後に各所から苦情が殺到したのだろう、50cmくらいの間隔を開けて滑り止めらしいテープが釘で打ちつけられていた。これが無いとマジでアイゼンが必要だ。桟橋が長い分、滑り止めテープの数も膨大だろう。

ねじれ滝 石楠花群生地
和合の滝 避難小屋

落差80mの夫婦滝 夫婦滝の最上部

子滝 孫滝

 沢沿いには滝や岩の看板があちこちにある。一番大きな滝は夫婦滝で、解説によると落差80mだそうだ。ここからは桟橋は終了し、終始地面を歩く。滝があるjくらいなので沢沿いには上がれないため、右岸側を大きく巻いて高度を上げる。滝上部に出ると同時に夫婦滝の上流には子滝、さらに上流には孫滝があり、ここで沢から離れて急な小尾根を登り始める。

二の谷を離れて急な尾根を登り始める 鎧岩
裏側から見た鎧岩 展望皆無の第二展望台

 尾根途中には鎧岩なる巨岩が登場するが、残念ながら樹林中で展望が無いし、岩は左から巻いてしまう。第一展望台、第二展望台の看板がある個所からも展望皆無であった。植林したばかりの頃は展望台だったのかもしれない。

この先からカモシカ渡り カモシカ渡りの急な岩尾根
兜岩展望 兜岩展望から見た西の展望
前方ピークは1880m肩 三の谷ルート合流

 「カモシカ渡り」の看板が出てくると露岩混じりの尾根に変わって簡単な岩登りが楽しめる。かなり急なので慣れないオバサンパーティーがいると渋滞するかも。露岩なのでここは展望が良く「兜岩眺望」との看板があった。尾根が右に屈曲する個所(標高1720m)には「国有林境」の標識あり。そこからすぐに三の谷から上がってくる登山道が合流、小秀山から下る方向から見ると三の谷側のみ案内が出ており、二の谷側には何も書かれていない。もしかしたら一般的には三の谷ルートがメインなのだろうか?

1880m肩(兜岩)へのルートは現在は岩場コースのみ 兜岩から見た木曾御嶽
兜岩へと登る 兜岩てっぺんの標識
兜岩から見た白山
兜岩から見た長野/岐阜県境尾根周辺(クリックで拡大)
兜岩から見た美濃の山々(クリックで拡大)

 1880m肩は岩峰(兜岩)で、以前は小秀山に向かうルートが2つあったようだが、今は左側から直登気味に登るルートだけに制限されており、右側の「断崖横断コース」入口にはロープが掛けられていた。案内標識では「どちらのルートも最大の危険個所にて慎重に」との文言があったが、少なくとも直進コースは少しの区間のみ岩稜帯の登りに変わるが特段危険個所は無かった。1880m肩に辿りつくと巨岩の上部で大展望が楽しめる。残念ながら木曾御嶽はまだ雲がかかっているが白山はすっきり見えていた。

1910m峰への登り 1910m峰(第一高原)てっぺん
1910m峰の展望盤
前山/唐塩山方面分岐標識 前山/唐塩山方面の登山道入口

 最初はこの兜岩が1910m峰と勘違いしていたが、まだ前方にピークが見えて緩やかに上がっていく。ピークには「第一高原」との看板があって展望図もあった。さて、この付近で右手に尾根が分岐しているはずだが、ならだかなピークだし樹林の背が高いので先が見えない。もう少し先に進んで適当な場所を探そうと小秀山方向にほんのちょっと歩くと予想外の展開が! なんと前山方面の尾根上はきれいに刈り払われた登山道があったのだ! しかもその道は前山までではなく、唐塩山を越えて少なくとも高時山まで続いているようだ。この尾根は「加子母アルプス」と呼ばれているらしい。これで前山まで楽勝が確定。この分なら予定外の唐塩山まで足を延ばせそうだ。まさかこんな事態は予想していなかったため唐塩山の地形図は無いが、道があれば大丈夫だろう。

きれいに刈り払われた登山道が続く 緩やかな尾根に入る
どこが前山なのか不明
小ピークの登り 中央アルプス方面

 1910m峰からはもったいないが標高差100m強下ってしまう。かなり広い刈り払いで整備には相当な手間がかかっているに違いない。ただ、道の利用度はあまり高くないようで踏まれている個所の植生が薄くなっている様子はなく、オーバーユースの登山道とは正反対だ。まあ、歩きやすくていいけど。

前山への登り 前山山頂(最高点)
前山三角点への道 前山三角点

 傾斜が緩むと地形図の肩の部分で小ピークが現れ、ポコポコといくつかピークを越える。基本は樹林の尾根だが部分的に樹林が開けて展望が得られる場所がある。鞍部からはやや刈り払いの幅が狭まるが立派な道であることは間違いない。最後に少し傾斜が増して前山山頂に到着。こちらは周囲は樹林に覆われ展望皆無。まあ、この標高だからしょうがない。前山は微小な双耳峰を成しており、三角点は南東側の僅かに低いピークに設置されていた。笹藪の中なら三角点探訪はパスしようと考えていたが、なんととちらにも立派な刈り払いの道が。簡単に三角点に至ることができた。こちらも樹林で展望皆無。

1910m峰を振り返る 尾根東側に林道が見える
相変わらず良好な登山道が続く 1780m峰。「一の谷の頭」の標識あり

 前山山頂で少々休憩したが、その間にやってきた登山者は皆無だった。ザックを背負って唐塩山へと出発。道は相変わらず立派で迷う心配はなく、とにかく尾根上の道を素直に歩くだけだ。広い山頂部を持つ1780m峰で進路は直角に左に曲がるが、ここには「一の谷の頭」との標識がかかっていた。その標識には1786.8mの標高が書いてあったが、地形図からはそんな細かい分解能の標高は読み取れず、正しいのかどうか不明だ。

たぶんこれが唐塩山 登山道周囲は笹が続く
1650m小ピーク(物見岩)からの下り 東側に林道が間近だがつながる山道はない

 この先も深い樹林の登山道が続き、道が薄くなる気配は皆無だ。道の分岐がある個所もなく周囲は笹藪なのでまさに一本道。地図を持っていなくても大丈夫だった。たまに出てくる標識は「登山道」だったりするが、矢印付きで「唐塩山方面」とマジックで追記されていたりする。やがて左手斜面下方に林道が見えてきたが、そこまでは笹の海が続いて作業道等でつながっている個所は無く、おそらく唐塩山の南東側、標高1550mで林道が尾根に乗るところまで林道に乗れる個所は無いようだ。1650m小ピークは小さな岩峰になっており「物見岩 展望台」の案内標識と緑ロープがぶら下がっていた。帰りに立ち寄ってみたが既にガスがかかっており展望は無かった。この先の下りは結構急であったが、特に危険があるわけではない。

唐塩山最高点付近 唐塩山三角点
三角点西側の露岩 露岩から見た加子母の町

 その先の尾根はなだらかで、そろそろ山頂が近いことを感じさせる。そしてなだらかな尾根上に「唐塩山三角点→」の案内標識が登場、下山後に地形図で確認したが唐塩山三角点は最高点ではなく西に下った場所にあり標高は1608.8m。最高点は1610m等高線である。ちょうどそこは「唐塩山三角点→」の案内標識付近だと思う。ここは樹林で展望なしで、三角点付近は標高は落ちるが西側が開けて明るいのでそちらで休憩することにする。三角点の西側が露岩になっており展望が開け、眼下には加子母の町並みが見えたがそのうちにガスがかかって見えなくなってしまった。まるで夏の天気だ。ここでちょこっと休憩。

 帰りは同じルートを戻る。どうせ時間は余っているので前山でさらに休憩し、小秀山登山道との合流点である第一高原に到着。結局、唐塩山までの尾根で登山者の姿は全く見かけなかった。まあ、この時期の小秀山登山者数がどの程度かも知らないけど。残念ながらこちらもガスがかかってしまい、兜岩からは真っ白で何も見えなくなっていた。

帰路の兜岩。周囲はガスで展望なし 駐車場到着

 下りは三の谷コースでもいいのだが、歩く距離が無駄に長くなるのでパスして往路と同様に二の谷コースを戻る。

 

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